レヴァリアース/夜麻みゆき
「読まなきゃよかった」
最初の記事は、私が初めてファンレターを書いたレヴァリアースにしようと思います。
ブックオフで偶然見つけたのですが、私がこの漫画と出会ったときにはすでに夜麻みゆき先生は活動休止していたように記憶しています。
これを読み終えたとき、私は人生で初めてこんなもの読まなければよかったと思いました。
当時、私は小学生で、あくまで「小学生にしては」ではありますが、漫画も小説もそこそこ読んできていました。その中には人が死ぬ悲しい物語も、やりきれない切ない物語もあったはずです。だけど、読まなければよかったとまで思ったのは初めてのことでした。
結末があまりにもやりきれなくて、「シオンを生き返らせてください」と書き留めたファンレターを送ったほどです。物語の結末を変えてほしいなんてなんとも愚かしい読者だと当時の私も気づいてはいたのです。それでも、ラストページの二人の笑顔を見ているとたまらなかった。悲しくて涙を流すのではなく、やりきれないと心にモヤが溜まって苦しい。布団に包まって、初めての感情を持て余していたことを今でも思い出せます。
なぜあれほどまでにやりきれなかったのか?たぶん、幸せになると信じていたからでしょう。
ザードの残虐性など、不穏な雰囲気はたしかにあったのになぜ疑っていなかったのかというと、当時の自分が物語の王道しか知らなかったことが原因かなと思います。
子供二人、お互い意識しあっている男女、可愛らしい妖精のおとも、本当は愛し合っているけど素直になれない親子、さしこまれる小さなギャグ、温かい絵柄……こういった要素から連想するものって、普通はハッピーエンドですよね。
今ならバッドエンドもあると知っているので、このときほどのショックを受けることは早々ないでしょう。それもまた寂しい気もしますが。
また、ほとんど最後まで”いい話”でおわることができる状態だったというのもあると思います。かわいい絵柄からのギャップでいうなら、『まどマギ』なんかが有名です。あれも驚きましたが、かなり最初の方で「これはただのほのぼのじゃないよ」と明かされてますよね。
レヴァリアースは最後までほのぼのしつつ、最後の最後で悲しい結末に突き落としてきたので、心にぽっかり穴が空いたような状態になってしまったのでしょう。
批判のような語り口になってしまいましたが、私はレヴァリアースが好きなままです。
続編となる刻の大地の続きはおそらくないのだろうと思うと寂しいですね。